岡山の中小製造業向け|顧問弁護士の活用例

岡山の製造業の現場で作業する職人

岡山県は、水島地区を中心とした機械・鉄鋼・自動車・化学などの重化学工業と、繊維、耐火物などの特徴ある地場産業を有し、「ものづくり産業」に特色のある地域です。

ただ、製造業の現場では、従業員の育成、原材料費や人件費の上昇に伴う価格交渉、製品の品質をめぐる取引先とのトラブル、経営者や熟練社員が持っている技術の承継など、様々な問題が生じえます。

この記事では、岡山の中小企業の製造業を念頭に、顧問弁護士を活用できる代表的な場面を紹介します。

労務問題への対応

岡山・倉敷の製造業では労務問題への対応が必要となるケースも少なくありません。以下は一例を示します。

なお、実際には、外国人労働者の在留資格に関する問題、派遣労働者の活用や業務委託の従業員への対応の問題もあります。

技術が改善しない従業員

製造業の人手不足の中で採用した人員が問題社員であるケースがあります。

例えば、岡山の製造業の事案では、3年間指導を続けても、加工ミスが相次ぎ改善の意欲もなかった従業員の事案がありました。

能力不足の従業員でも直ちに解雇できるわけではないため、問題社員への備えが欠かせません。

休みがちな従業員がいる場合

当職が実際に対応した事案には、岡山の製造業で若手従業員が他の従業員とのトラブルをきっかけに欠勤を続けた事案がありました。このような休みがちな従業員が最近は増えており、その対策が課題となります。

ハラスメント対策が必要な従業員がいる場合

製造業の現場で行われる「見て学べ」「叱られて学べ」は、やり方を間違えるとハラスメントとなります。また若手が離れる原因にもなりかねません。

新規取引や既存取引先との条件調整を行う

近年のインフレーション(値上げ)からしますと、これまでと同じ条件では仕事をこなすことが難しくなっています。

何をいくらで取引する必要があるのかを分析することが欠かせません。

原材料費や人件費の上昇を価格に転嫁したい

「材料代も電気代も人件費も上がっている。しかし、20年間値上げをしていないので、どのように進めるかわからない」

このような悩みを持つ中小製造業の経営者もいると思います。

特に、特定のメーカーや元請企業からの受注が売上の大きな割合を占めている場合、単に「値上げを認めてもらえないなら取引をやめる」という判断は困難です。

当事務所では、取引先別の売上高・利益状況を整理した上で、どの既存取引先にどの程度の値上げを求めるかを検討し、値上げを案内する文書を作成するなど、値上げに向けた貴社の法務機能を果たします。

新規取引先との業務委託契約書・取引基本契約の作成

岡山・倉敷の人口は概ね横ばいですが、高齢化率は進行をしています。また、中心地以外は中心部や県外への人口の流出も起きています。

このため、新規の取引先の開拓も欠かせません。その場面で重要なのが、「何をいくらで行う」ことを明確にした取引基本契約書と、個別に「何をいつまで行う」かを明らかにした覚書や業務委託契約書の存在です。

当事務所では、必要な現金の動きから逆算しつつ、これまでの製造の流れを踏まえた取引基本契約書を作成します。新規で開拓した顧客と適切な取引を行い、資金繰りを確保できる契約を実現するという法務機能を果たします。

追加作業や費用負担を求められた

製造業では、当初の発注内容には明確に含まれていなかったにもかかわらず、急な仕様変更への対応、製品の検査や選別、金型等の保管、不具合発生時の追加作業などを求められることがあります。

このような場合に、値上げを支える法律(中小受託取引適正化法・旧下請法)も念頭に置きつつ、取引を壊さず、他方で従業員や会社の会計を壊さないように対応する交渉が欠かせません。

顧問弁護士が会社の取引状況を日頃から把握していれば、「法律上どこまで主張できるか」を確認したうえで、「経営上、実際にどこまで主張するか」を経営者と一緒に考えることができます。

社長や熟練社員が持つ技術と会社を次の世代へ引き継ぐとき

岡山県は、ものづくり産業について、従業員の年齢構成のアンバランスや、技術・技能の次世代への継承を課題として挙げています。

また、県は事業承継についても、経営者の高齢化や後継者不足を背景に早期の取組みを促しています。県が公表している事業承継のモデル事例6社のうち4社は製造業であり、親族内承継だけでなく、従業員承継や第三者承継(M&A)という選択肢も紹介されています。

「その人しかできない仕事」をどう残すか

中小製造業では、

「この機械の微妙な調整は工場長にしかできない」「この製品の加工条件はベテラン社員の頭の中にしかない」

ということがあります。

この状態で熟練社員が退職すれば、会社に機械や設備が残っていても、同じ品質の製品を作れなくなる可能性があります。

若手への技能承継や技術のマニュアル化とともに、図面、加工条件、製造ノウハウなどを会社の重要な情報としてどのように管理するかも検討しておく必要があります。

株式を渡すだけが事業承継ではない

製造業の事業承継では、会社の株式だけではなく、工場の土地・建物、製造設備、従業員、技術やノウハウ、取引先との関係、経営者保証など、様々な問題が関係します。

後継者についても、子どもなどへの親族内承継だけでなく、役員・従業員への承継や第三者へのM&Aを検討するケースがあります。岡山県も、一般的に事業承継には後継者の決定から完了まで5年から10年を要するとして、早めの準備を呼びかけています。

「まだ社長は元気だから」と先送りするのではなく、選択肢が多いうちに準備を始めることが重要です。

監修弁護士のコメント

当職は事業承継の勉強会に出席しています。

その中で岡山県内の製造業の事業承継のケースは非常に印象に残っています。

承継者が30代の頃から、先代が少しずつ株式を渡し、40代前に渡し切った後は、先代は相談役として完全に前線から引き、経営にも干渉をしなくなったというケースです。

このケースで、承継者は、OEMのみから脱却し、高付加価値な製品の製造と販路拡大を実現していました。

どのように承継をするのかは、弁護士や税理士等と相談しながら早め早めに行うことが重要と学びました。

事業承継は複数の専門家で考える

事業承継は弁護士だけですべて解決できるものではありません。

株式や相続などの法的問題だけでなく、株価や税務、不動産登記、労務、資金調達なども関係するため、税理士、司法書士、社会保険労務士、金融機関などとの連携が必要になる場合があります。岡山県でも、県内の多数の支援機関が連携して事業承継を支援する体制が設けられています。

当事務所でも、事業承継に関する研究会に定期的に参加するとともに、他士業の専門家とのネットワークづくりに取り組んでいます。

事業承継について「何を誰に相談すればよいのか分からない」という段階から、必要な専門家と連携しながら検討を進めることができます。

まとめ|製造業の顧問弁護士は「経営判断をする段階」で活用する

従業員の問題、価格や契約条件の交渉、事業承継。一見するとそれぞれ別の問題ですが、中小製造業では、いずれも日々の経営判断に直結しています。

トラブルが大きくなってから初めて弁護士を探すと、それまでの対応によっては取り得る選択肢が限られてしまうことがあります。

「この社員への対応をこのまま続けてよいだろうか」「取引先に価格改定を求めてもよいだろうか」「そろそろ後継者について考えた方がよいだろうか」

こうした経営者が少し気になった段階で相談できることが、顧問弁護士を置くメリットです。

当事務所では、岡山県内の中小企業の経営者から、従業員対応、契約・取引先とのトラブル、事業承継などのご相談をお受けしています。問題が深刻になる前の段階でも、お気軽にご相談ください。