業種別|運送会社で顧問弁護士を活用する場面|岡山の運送事業者向け

トラックを運転するドライバー

岡山県は中国・四国地方の交通の結節点にあり、物流が地域産業を支えています。一方で運送業は、ドライバー不足、長時間労働、燃料費・人件費の上昇への対応が課題です。

運送会社では、労働時間や残業代、事故を繰り返す従業員への対応、運賃交渉、荷待ち・荷役の負担、交通事故や荷物の破損など、日常的に法律問題が生じます。

今回は、岡山の中小運送会社を念頭に、顧問弁護士を活用できる代表的な場面を紹介します。

ドライバー・従業員に関する労務問題への対応

問題のある運転者への対応

物損事故を引き起こす、安全指導に従わない、急ハンドルを繰り返すなどドライバーへの対応に悩む場面があります。

許認可の取り消しや車両の使用停止処分などを回避するためにも、危険なドライバーへの厳しい処分は欠かせません。他方で、一足飛びに解雇すれば、解雇が無効となり1000万円を超える支払いを要するリスクもあります。

当職はこれまで危険運転をした運転者の解雇訴訟や、法令違反をおこなった運転者の解雇問題への対応を行ってきました。裁判所の考え方も踏まえたトラブルを回避する対応により、会社が安心して事業を行えます。

ドライバーの労働時間・残業代・改善基準告示への対応

トラックドライバー・バス運転者等は、人手不足かつ免許一つで転職できるため、不満があれば辞めた上で残業代等を請求するパターンが少なくありません。

いわゆる2024年問題をクリアした規則と運用ができているか、拘束時間や休息期間を定める改善基準告示も遵守した運用ができているか、確認と制度設計が欠かせません。

また、運転時間だけでなく、点呼、荷待ち、荷役を含めた実際の働き方を確認することが重要です。トラックドライバーが退職後に残業代を請求する際、トラックが止まっている荷下ろし等の待ち時間が労働時間か争いとなるケースは後を断ちません。

顧問弁護士は、残業代を請求されてからではなく、運行計画や勤怠管理が法令に沿っているか等の対応を講じます。

賃金制度の設計と運用管理

トラックの運転者で多いのは歩合給すなわち運んだ距離などによって賃金が決まる制度です。

しかし、この制度は設計や運用を間違えると、残業代が想定の5倍に膨れ上がります。

また、運賃の一部を残業代とする制度も、同意書の取得等のプロセスを経ないと、残業代が払われていないものと扱われることがあります。

顧問弁護士は貴社の法務部として、賃金制度の見直し(業務内容を踏まえた歩合給制度を採用するか否かの提案)や、リスクをコントロールするための書面作成や運用支援を行います。

荷主との運賃・取引条件を見直すとき

適正な利益を確保するには、走るほど赤字になる取引を放置しないことが重要です。

国土交通省は2024年に「標準的な運賃」を見直し、運賃水準を引き上げるとともに、荷待ち・荷役の対価や燃料費上昇分を荷主に転嫁しやすくしています。

燃料費・人件費の上昇を運賃に転嫁するとき

「燃料代も人件費も上がっているが、10年以上同じ運賃で運んでいる」

という運送会社もあると思います。

特定の荷主への売上割合が大きい場合、「値上げを認めなければ取引をやめる」という判断も簡単ではありません。

当事務所では、取引先ごとの売上や条件を確認し、どの荷主にどのような条件変更を求めるかを整理して、運賃改定の案内文や交渉方法を検討します。

荷待ち時間・荷役作業など運送以外の負担を見直すとき

指定時間に到着しても長時間待たされる、荷積み・荷下ろしや検品まで求められるケースもあります。

2025年4月施行の物流効率化法では、荷主・物流事業者に荷待ち・荷役時間の短縮などが努力義務とされ、一定規模以上の特定事業者には2026年度から中長期計画や定期報告の義務も導入されています。

運賃だけでなく、一件の仕事でドライバーが実際に何時間拘束されるかまで確認して条件を考える必要があります。

運送契約書・基本契約書を実際の取引に合わせて整備する

長年の取引では「昔からこの条件だから」と、契約内容が曖昧なまま運送を続けている例があります。

運賃に加え、荷待ち・荷役の料金、燃料費の変動、荷物破損時の責任、キャンセル、支払時期などを整理しておくことが重要です。

2026年4月にはトラック適正化二法の一部も施行され、白トラ利用に対する荷主規制や再委託回数の制限に関する努力義務など、ルールも変化しています。

顧問弁護士は、揉めた後だけでなく、荷主との取引条件を定期的に見直す外部法務担当としても利用できます。

監修弁護士のコメント

運送会社では、「仕事があること」と「利益が出ていること」は必ずしも同じではありません。

長年の関係は大切ですが、燃料費や人件費が上昇する中で同じ条件を続ければ、会社だけでなくドライバーの待遇にも影響します。

法律上何を主張できるかを確認したうえで、関係を壊さずどこまで条件変更を求めるかを考えることも顧問弁護士の役割です。

交通事故や荷物の破損・紛失などのトラブルに対応するとき

安全管理に注意していても、交通事故や貨物事故を完全になくすことはできません。

事故時は、被害者対応、保険会社への連絡、荷主への説明、ドライバー対応を並行して行う必要があります。

ドライバーが重大な交通事故を起こしたとき

人身事故など重大な事故では、まず被害者の救護と警察対応を行い、その後に事故原因や安全管理体制を確認します。

また陸運局への対応も欠かせません。

顧問弁護士が会社事情を把握していれば、事故直後から相談しながら対応できます。

荷物の破損・紛失について荷主から損害賠償を求められたとき

輸送中の商品破損、温度管理の不備による廃棄、荷物の紛失といったトラブルもあります。

荷主から請求を受けた場合は、事故原因、契約内容、実際に生じた損害を確認して対応します。

請求額をそのまま支払うのではなく、保険会社と連携して責任範囲を整理することが重要です。

事故後のドライバーへの処分と再発防止を検討するとき

事故を起こしたドライバーについて「もう運転させられない」と感じることもあります。

しかし結果だけで処分を決めず、事故原因、本人の過失、過去の事故歴、安全指導への態度を確認する必要があります。

事故対応と労務対応を切り離さず、再発防止の指導と適切な人事対応を一緒に検討することが重要です。

運送会社を次の世代へ引き継ぐとき

岡山県でも、経営者の高齢化や後継者不在を背景に、商工会議所や金融機関が参加する事業承継支援のネットワークが設けられています。

トラック・営業所・従業員を含めて事業を引き継ぐ

事業承継では、株式を後継者に渡すだけではありません。

トラック、営業所、借入れ、ドライバー、主要荷主との関係など、事業継続のための資産や関係も引き継ぐ必要があります。

社長自身が荷主との交渉や配車、採用まで担う会社では、「社長がいなくても会社が回る状態」を作ることも承継準備の一つです。

親族・従業員への承継か、M&Aかを検討する

子どもへの承継だけでなく、役員・従業員への承継、他社へのM&Aも選択肢になります。

中小企業庁も、後継者育成を含めると準備には5~10年程度を要するとして、早期の準備を勧めています。

「まだ元気だから」と先送りせず、選択肢が多いうちから検討することが重要です。

事業承継を税理士・司法書士など複数の専門家と進める

事業承継には、株式・相続などの法律問題だけでなく、税務、不動産、借入れ、労務も関係します。

当事務所では、事業承継の研究会に参加し、税理士、司法書士、社会保険労務士など他士業とのネットワークづくりにも取り組んでいます。

「子どもに継がせるか、従業員に任せるか、売却するか決めていない」という段階から、必要な専門家と連携して検討を進められます。

まとめ|運送会社の顧問弁護士を日常の経営判断に活用する

ドライバーの労務問題、運賃交渉、交通事故、事業承継。別々に見えても、運送会社ではいずれも日々の経営と密接につながっています。

「このドライバーへの指導をこのまま続けてよいだろうか」

「この荷主には運賃改定を求めた方がよいだろうか」

「荷待ち・荷役の負担を契約上どう整理すればよいだろうか」

「そろそろ後継者について考えた方がよいだろうか」

こうした、少し気になった段階から相談できることが顧問弁護士のメリットです。

当事務所では、岡山県内の運送会社を含む中小企業から、労務問題、運送契約・取引条件、事故対応、事業承継などのご相談をお受けしています。

問題が深刻になる前の段階でも、お気軽にご相談ください。

→【岡山市・倉敷市の顧問弁護士サービスを知る】